治療法や薬に関する新しい情報

脳塞栓症(心臓などから流れてきた血の塊=血栓によって脳の太い血管が詰まってしまい脳こうそくになる)に対する特効薬「組織プラスミノーゲンアクチベーター(t-PA=ティーピーエー)」が認可される(平成17年)

心臓などにできた血液の塊(血栓)が脳に流れてきて脳の太い血管を詰まらせてしまう「脳塞栓症」は、重い後遺症を残したり死亡したりする可能性も高く、もっとも重症なタイプの脳こうそく(脳梗塞)です。
「組織プラスミノーゲンアクチベーター(t-PA)」は、このような血栓を溶かし、詰まった血管を再開通させる薬です。

しかし、この薬は決して万能ではなく、脳塞栓症(脳梗塞全体の2割程度)以外では大きな効果は期待できませんし、お年寄りや手術後の方、発症(発作)から時間が経ってしまったりして広い範囲の脳梗塞がすでに起こってしまっている方などでは効果が期待できないどころか逆に出血を起こしたりして症状が悪くなるため、使用できる患者さんが厳しく限定されています。
特に、発作から3時間以上経過した方に対してこの薬を使うことは危険性が増すため禁じられていますので、もし脳卒中の発作が疑われるときは、ご自宅で様子を見たりせずに速やかに医療機関を受診されることをお勧めいたします。

欧米では、脳塞栓症の患者さんに対して発作よりできるだけ早い時間にこの薬を使うことで、より良い予後(結果)が期待できるということで、「Time is brain(時は脳なり)」を合言葉に、脳卒中の症状を感じたらすぐに救急車を呼んで病院にかかるようキャンペーンをしています。

脳こうそく(脳梗塞)患者さんにおける、コレステロール治療による脳卒中再発予防効果に関する研究(SPARCLE試験)の結果(平成18年)

我が国で開発された、世界で初めての「フリーラジカルスカベンジャー(消去剤)」発売。(平成13年)

フリーラジカルとは、脳などの細胞が脳梗塞などで障害を受けた場合に、障害を受けた細胞から放出される「活性因子」です。この「フリーラジカル」が周りの脳細胞に影響を与えて、脳梗塞による被害をより広げてしまう「遅発性神経細胞死」という現象を引き起こします。
今回開発・発売されたエダラボン(商品名:ラジカット注)は、この脳神経細胞や脳の血管に発生した「フリーラジカル」を消去する事によって、「脳梗塞の進展(症状の増悪)」を抑制する事が期待されています。

降圧薬(血圧下降剤)による脳卒中再発防止に関する研究(PROGRESS試験)の結果、平成13年)

ペリンドプリル(商品名:コバシル)はアンギオテンシン変換酵素阻害剤と言う種類の降圧薬の一種です。
日本33施設を含む世界172施設で6000例以上の脳卒中を起こしたことのある患者様を対象に、降圧薬であるペリンドプリルの卒中の予防効果を検討しました。その結果、ペリンドプリルを基礎とする降圧治療によって、脳卒中の再発が28%、心血管イベント(心筋梗塞など)が26%減少することが明らかになりました。また、この効果は、「東洋人」においてより著明な傾向であった。

我が国におけるHDLコレステロール値と心筋梗塞等の予防に関する研究(J-LIT)の結果

これまで注目されてきたLDLコレステロールや中性脂肪、HDLコレステロール(俗に言う善玉コレステロール)の血液中濃度に対する心筋梗塞等の予防に対する目標値を検討しました。
その結果、狭心症や心筋梗塞の既往のない(かかったことのない)方の心筋梗塞の予防には中性脂肪240mg/dl以下、LDLコレステロール160mg/dl以下、HDLコレステロール40mg/dl以上が望ましい事が示されました。また、狭心症や心筋梗塞の既往のある方に関しては、HDLコレステロール120mg/dl以下、HDLコレステロール40mg/dl以上が再発予防に望ましいことが示されました。