
脳卒中に関する新しい情報
(新しく裏付けられた「エビデンス」)
破裂脳動脈瘤に対する治療法に関する多施設共同研究の結果(国際破裂動脈瘤臨床試験ISAT:ヨーロッパ、カナダにおける、破裂脳動脈瘤に対するクリッピング手術とコイル塞栓術の成績比較試験の結果 The LANCET誌:平成14年10月)
イギリスのオックスフォード大学が中心となり、ヨーロッパ、カナダの44の大規模施設において、破裂脳動脈瘤(くも膜下出血)の患者様のうち、クリップ手術とコイル塞栓術のどちらでも治療が可能と判断された患者さんを、「無作為に(アットランダムに)」分けて治療を行い、2つの治療法の、破裂脳動脈瘤(くも膜下出血)に対する治療法としての安全性と有効性の検討を行いました。
対象となった患者様の数は合計2143名で、1070名の方がクリッピング手術を、1073名の方がコイル塞栓術を行うこととなりました。それぞれの治療をお受けいただいた方の2か月後、1年後の治療結果、状態を評価しました。
その結果、治療1年後の時点で重い後遺症が残る、または死亡した方が、クリップ手術を受けた方で30.6%であるのに対して、コイル塞栓術を受けた方は23.7%と、治療一年後の無障害生存率がコイル塞栓術の方が高いことが明らかになりました。この結果は、これまでは「限られた動脈瘤の部位においては有効である」とされていたコイル塞栓術が、「無作為」に分けても効果的、つまり「コイル塞栓術が可能な動脈であれば、クリップ手術よりも良い結果となる可能性が高い」ことが明らかにされた、画期的な報告です。
未破裂脳動脈瘤に関する多施設共同研究の結果(国際未破裂動脈瘤 試験ISUIA:北米、ヨーロッパにおける、頭蓋内未破裂脳動脈瘤の自然歴と、予後と治療に伴う危険率に関する 検討の結果 The LANCET誌:平成15年7月)
アメリカのメイヨークリニックが中心が中心となり、北米大陸、ヨーロッパの57の大規模施設において、未破裂脳動脈瘤の患者様を平均4年間経過観察して、動脈瘤の存在する場所と動脈瘤の大きさによる破裂率を検討するとともに、破裂した場合の予後とクリップ手術とコイル塞栓術、それぞれを行った場合の危険率に 関する検討をしました。
対象となった患者様の数は合計4060名で、1692名の方治療をお受けにならずに経過観察され、自然歴(破裂率)の検討をされました。また、1917名の方が クリップ手術を、451名の方がコイル塞栓術を受け、それぞれの治療法における1か月後、1年後の治療結果、状態を評価しました。
その結果、以下の表にお示しするように、動脈瘤の存在する場所と動脈瘤の大きさによって破裂率は異なること、比較的小さな動脈瘤は破裂のリスクより手術(クリップ、コイルとも)のリスクの方が高くなることが示されました。
また、クリップ手術とコイル塞栓術、それぞれの手術の危険率に関しては、明らかな差は出ませんでした。
動脈瘤の大きさ
動脈瘤の場所<7mm 7〜12mm 13〜24mm ≧25mm 内頚動脈、中大脳動脈、前大脳動脈
(内頚動脈−後交通動脈分岐部を除く)0 %/5年 2.6 %/5年 14.8 %/5年 40 %/5年 椎骨動脈、脳底動脈
内頚動脈−後交通動脈分岐部2.5 %/5年 14.5 %/5年 18.4 %/5年 50 %/5年
破裂率の数字は全て「5年間での破裂率」です、ご注意下さい!