脳こうそく(脳梗塞)について

(脳こうそく(脳梗塞)ってどういう病気?)

  1. 脳こうそく(脳梗塞)の分類

  2. 脳こうそく(脳梗塞)の画像

  3. 脳こうそく(脳梗塞)と治療


脳こうそく(脳梗塞)を理解するには、脳こうそく(脳梗塞)という病気の原因や経過などについての理解をしていただくことが大切です。

まずは脳こうそく(脳梗塞)の分類についてご説明します。
脳こうそく(脳梗塞)は原因、経過、脳の死んでしまう範囲などからいくつかに分類されます。

  原因による分類 脳血栓 脳自体の血管が動脈硬化で細くなっていき詰まってしまう
比較的太い血管の壁に沈着物がたまって起こった狭窄が原因の「アテローム血栓性脳こうそく(脳梗塞)」と脳の内の細い枝が詰まって起こる「ラクナ脳こうそく(脳梗塞)」があります。
    脳塞栓(そくせん) 心臓や首に血の塊(血栓)ができて、この一部が血液の流れにのって流れてきて脳の血管に詰まる。不整脈や心筋こうそく(脳梗塞)の病歴を持つ患者さんに多いタイプです
  症状による分類 無症候性脳こうそく(脳梗塞) 脳こうそく(脳梗塞)を起こすと必ず症状が出る訳ではありません。知らぬ間に、なにも症状が無いのにMRI検査などをすると小さな脳こうそく(脳梗塞)像(ラクナこうそく(脳梗塞))が見つかることがあります。広い範囲の脳動脈硬化の現れであると考えられ、最近痴呆や初老期のうつ病などとの関係について注目されています。
    一過性脳虚血発作 半身不随(麻痺)やろれつがまわらない(言音障害)などの症状が一次的に出て短時間(1日以内)に消失するタイプの発作です。発作を起こした患者さんの2〜4割が、5年以内に大きな発作を起こす危険性があると報告されています。
    進行脳卒中 脳こうそく(脳梗塞)による症状が時間の経過に従い次第に悪化して行く場合があり進行こうそく(脳梗塞)と呼ばれます。脳こうそく(脳梗塞)発作の約1〜4割に見られ、比較的予後が悪い傾向があります。
    完成脳卒中 脳こうそく(脳梗塞)による症状が診断の時点ですでに完成している場合です。進行こうそく(脳梗塞)とは結果でしか判断できません。
  CT所見による分類 小窩こうそく
(ラクナこうそく)
直径が2cm以下の大きさの脳こうそく(脳梗塞)をさし、多くは5mm以下。ほとんどは脳の深部に行く細い血管(穿通動脈)が動脈硬化により閉塞して起こる。高血圧、糖尿病がその原因と考えられている。
    皮質脳こうそく、
半球性脳こうそく
脳の表面を走る比較的太い枝(皮質枝)の閉塞による脳の表面(皮質)の広い範囲の脳こうそく(脳梗塞)。詰まる血管が太い部分であればあるほど広い範囲の脳こうそく(脳梗塞)となり、重症となりやすい。脳塞栓によることが多いです。
    分水界こうそく 頚動脈などが詰まることで、他の脳の血管から迂回して脳に血液が流れている場合、迂回路の下流となる部分の血液が足らなくなって脳こうそく(脳梗塞)を起こす。頚動脈のアテローム性閉塞が原因のことが多いです。
    出血性脳こうそく 脳塞栓による「皮質脳こうそく(脳梗塞)」で脳の広い範囲が死んでしまった(壊死)あとで、栓子(血栓)が血液の作用で自然に溶けて再開通した場合、脳こうそく(脳梗塞)の範囲の一部が出血を起こすことがあります。脳こうそく(脳梗塞)のむくみに出血による脳への圧迫が加わり重症となる事が多い状態です。

脳こうそく(脳梗塞)は発症してもすぐにCTやMRIで所見が出るわけではありません。最も感度の良い「拡散強調MRI」という特殊な検査法でも、発症から1−2時間ほど経たないと異常は発見できません。従って、ごく早期の脳こうそく(脳梗塞)の診断は「脳卒中の症状があるのにCTで出血がなければ脳こうそく(脳梗塞)」と判断するわけです。
また、CTではやはり診断に限界がある場合も多く、MRI検査が必要です。

脳こうそく(脳梗塞)のMRI写真の説明はこちら

脳は手足を動かしたり言葉をしゃべったりという命令を出す脳細胞、脳細胞の命令を手や足などに伝えるために脳細胞から出た細い突起(神経線維)と脳の細胞や線維を固定して脳を形づくるための骨組みとなる神経膠細胞からできています。
脳の重量は体重の2%程度(男性1400g、女性1350g程度)なのに対し、脳の酸素消費量は全身の酸素消費量の20%、ブドウ糖(脳の唯一の栄養源)の消費量は全身のブドウ糖消費量のうちの25%と非常にたくさん消費します。このため、脳は非常に血液不足、酸素不足に弱く、血液の流れ(脳循環)が停止すると脳細胞は約5分程度で死んでしまうのです。

いろいろな原因で脳の血流が途絶えると、その血管が血液を与えていた範囲の脳は比較的早く死んでしまいますので救ってあげることはほぼ不可能です。しかし実際には、血液が行かなくなって死んでしまった部分の周りには血液が足らなくて死につつある細胞や、血液不足で機能が停止してしまっている細胞が数多くあります。こういった細胞はまだ死んでしまってはいないので、治療によって救ってあげられる可能性があります。そして、これらの細胞を救ってあげることによって少しでも後遺症を軽くすることが脳こうそく(脳梗塞)の治療の一つの柱です。

しかし、一度脳こうそく(脳梗塞)を起こしてしまえば後遺症を残すことも多く、再発作も少なくないので、脳こうそく(脳梗塞)を起こさないように予防することが最も大切な治療となります。また、「一過性脳虚血発作」の発作の経験がある方、糖尿病、高血圧、高脂血症、不整脈や心筋こうそく(脳梗塞)の既往がある方は特に脳こうそく(脳梗塞)を引き起こす可能性が高いので、専門医にご相談下さい。